アメリカの言語学者による「日本語論」

A study of the Japanese language by an American linguist

私たち日本人が何気なく使っている、ひらがな・カタカナ・漢字という三種の文字体系。

これについてのyou tube動画を見て、ショックを受けました。

アメリカの言語学者による「日本語は効率的でない」「三種の文字が混在する非合理性」といった批判が飛び込んできたからです。

でも、その後、日本語が持つ深い多機能性について紹介があり、その“複雑さ”はむしろ言語的な強さであるという説明にホッとしました。

皆さんは、日本語の特徴は何だと思いますか?

What do you think are the characteristics of the Japanese language?

敬語の多層性が日本語最大の特長とのことです。

尊敬語・謙譲語・丁寧語といった言葉を用いて、相手との上下関係や状況、距離感をミクロに表現できます。

例えば、目上の人には「お疲れさまです」、目下の人には「ご苦労さまです」と使い分ける文化は、日本人の社会的な配慮と感受性に基づいています。

一方、「~させていただく」には、自らの行為に謙虚な責任感を込めつつ相手への敬意を含ませるという、非常に繊細なニュアンスの調節機能があります。

これは、外国の人にはわかりにくいでしょうね。

敬語の持つもう一つの機能をご存じですか?

敬語には距離感の調整機能もあります。

Honorifics also serve the function of adjusting social distance.

例えば、初対面のフォーマルな場面では格式高い表現を用います。

そして、親しくなってきた関係では少しだけ砕けた表現、「~なんですね」などを混ぜることで、敬意を失わずに親しさを伝えることができます。

これはまさに「言葉で距離を操る」技術と言えるでしょう。

日本語の文法構造はどうでしょう?

日本語のSOV(主語‐目的語‐動詞)という構造は、話し手が文末で結論を明かすため、文脈や状況への反応を待って微調整できる柔軟さがあります。

これは、相手の反応を見ながら進められる、日本人的な配慮が根付いていると解釈できます。

ですから、時々耳にする「日本語はあいまいだ」という批判は、一面的だと思います。

日本語の造語力はどうでしょう?

How about the word-formation ability of the Japanese language?

御存じだと思いますが、明治になって西欧の概念を輸入するにあたり、日本人は漢字を組み合わせて「経済」「哲学」「科学」といった新語を創出しました。

新たな概念を表すのに、既存の漢字を自由に組み合わせて作るという柔軟性や造語力には、驚くべきものがあります。

また、これは高い教養を持った日本人だからできたこととも言えます。

この日本人が生み出した、「経済」「哲学」「科学」などの新語が、中国や韓国へ逆に流入され使用されているという事実を知り、すごく驚きました。

日本人の思考スタイルとの深い結びつき

敬語の微妙な使い分けは、相手への配慮と協調性を尊ぶ社会性を反映しています。

The subtle distinctions in the use of honorifics reflect a social culture that values consideration for others and a spirit of harmony.

文の構造に見られる「結論を急がない」パターンは、謙虚さや状況判断力、思慮の深さを支えています。

そしてそれらすべてが、言葉と行動の間に「余裕」を作り、他者との信頼関係を築く重要な要因となっています。

つまり、日本語は単なるコミュニケーションの道具にとどまらず、日本人の考え方や発想にすごく大きな影響を与えていると言えるのです。

海外の言語学者は、日本語を非合理と捉えていますが、敬語や文構造、漢字語の創造力といった点を総合的に見ると、日本語はむしろ「複雑ながら高度な調整装置」のような言語だと言えます。

効率性だけ視点では捉えきれない、微妙な心の機微や関係性への繊細な配慮。これこそが日本語の持つ最大の強みであり、これからも大切にしていきたいと思います。


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